あらすじ
『バガボンド』は、1600年の関ヶ原の戦いの後から始まる。戦場を生き延びた荒々しい青年・新免武蔵は、「天下無双」を目指して剣の道へ進む。宮本武蔵と名を改め、名高い剣士や道場に挑んでいく姿を描くのは井上雄彦。吉川英治の小説『宮本武蔵』を大胆に翻案し、実在した剣豪の生涯を、野心や恐れ、強さの意味を問うフィクションとして描いている。
斬り合いは緊迫感があり、肉体の傷も容赦なく描かれる。一方で、修行や人との関わり、静かな内省に多くの時間を割く作品でもある。相手に勝つことを求める武蔵は、やがて、その執着に支配されずに生きるとはどういうことかを考え始める。緻密な墨の描写は、刃の動きにも静寂にも重みを与える。流血や身体の切断、性暴力、裸体の描写があり、重く厳しい読後感を伴う場面も多い。ただし、ユーモアや温かな交流、人としての成長もあり、暗さだけで押し切る物語ではない。
良い点
- 表情や風景、剣戟に生々しい存在感を与える筆づかい。
- 間合いやためらい、恐れまで伝わる、丁寧に組み立てられた決闘。
- 武蔵の少しずつの変化が、静かな章にも感情の重みを生む。
気になる点
- 内省が続く場面は、展開が遅い、同じ問いの繰り返しと感じることもある。
- 長期休載が続き、物語は未完のまま。
編集者のコメント: この漫画にはレイプの描写があります。特に、十代の少年が成人女性の家族全員を殺害した後、その女性をレイプする場面は、読むのがつらいと感じるかもしれません。剣での戦いだけを描いた漫画ではないので、読む際は心の準備をしておいてください。
受賞・ノミネート
主な登場人物
-
宮本武蔵
-
佐々木小次郎
-
本位田又八
-
おつう
-
沢庵宗彭
-
城太郎
-
宝蔵院胤舜
-
柳生石舟斎
-
吉岡清十郎
-
吉岡伝七郎